あんだんてシャンプー通信 No.12
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あんだんてシャンプー通信
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前回では石けんと界面活性剤は別のものと誤解が生まれる背景について書きました。 今回から界面活性剤の例を具体的に上げて解説したいと思います。 No.12の本題に入ります。 天然界面活性剤 1 代表的な天然界面活性剤 界面活性剤の機能を持った天然物としては次のようなものがあります。 (1)カゼイン カゼインは、牛乳の80%を占めるタンパク質で牛乳の乳化に役立っています。 牛乳の成分ですから安全性は高いのですが、牛乳アレルギーの原因物質ですから、その点には注意が必要です。 (2)レシチン 黄卵中に存在する代表的天然両性界面活性剤です。 マヨネーズはレシチンの効果で油と分離しないですみます。 このことを分かりやすく説明したホームページがありますので、ご紹介します。 レシチンは工業的に取り出されマヨネーズだけでなく、マーガリンやチョコレートにも使われています。 大豆レシチンは化粧品原料としても使われます。 (3)サポニン ヘチマの茎、葉、実やお茶など多くの植物に含まれ、泡立ちか良いのが特徴です。 抹茶の泡立ちもその中に含まれるサポニンの効果です。 シャボンの語源については書きましたが、ポルトガル語のサボンからサポニンになったとも言われます。砂漠のシャボテンにも関係があります。 レシチン以外にも天然の界面活性剤を食物と関連付け楽しく解説していて秀逸です。 ご覧になることをおすすめします。 2 石けんの代わりになる天然物(その1) (1)パスタの茹で汁 パスタの茹で汁には前述のサポニンが入っているので、洗浄力があります。 (2)米のとぎ汁 米のとぎ汁には「アルカリ」を含みますので、油と接触すると石けんを作ったと同じことで洗浄力が出ます。 (3)レモン/オレンジの皮 柑橘類の皮に含まれる「リモネン」という化合物が含まれているので油を溶かすことができるので石けんの代わりにはなりますが、界面活性剤ではありません。 (1) 〜(3)はカソウケンの内容の要旨です。 (注)リモネンは精油の一種です。精油はプラスチックも溶かす力があり、発泡スチロールを精油で溶かして回収する技術をソニーが開発して有名になりました。 3 石けんの代わりになる天然物(その2) (1)さいかち まめ科の落葉高木。材は器具・細工物にし、20センチ余の曲がったさやは民間で石けんの代用とし、また種子とともに漢方薬にします。 石けんの代わりにできるのはサポニンを含むためです。 (2)エゴノキ 山地に自生する落葉高木(高さ10〜15メートル)で、果皮にエゴサポニンを含んでいるので石けんの代わりになります。 (3)ガスール ガスールは、「モンモリナイト」というモロッコで採れる、石けんのような洗浄効果のある粘土です。「粘土で洗う」と聞くと、変に思われるかもしれません。でもこの粘土は、見事にお肌や髪の余分な脂や汚れを吸着し、洗い流してくれる粘土です。 (この文章は「ふぇあうぃんず」さんの資料から引用させていただきました。) (4)米ぬか 米ぬかを袋に入れて洗うのは、よく知られる方法です。 以上、今回は天然物を取上げましたが、天然界面活性剤といえるのは上記のようなものです。 「石けんは天然物で他の界面活性剤は合成界面活性剤」とする石けん愛好家の分類または定義は、偏った考え方であることをご理解いただけると思います。 次号では“界面活性剤にまつわる話”の2 アミノ酸系界面活性剤について書きます。 1 天然界面活性剤 2 アミノ酸系界面活性剤 3 石けん 4 高級アルコール系界面活性剤 5 石油系界面活性剤 |